月の葉っぱ

夜明けはもうすぐそこに。

ひとつ扉を開けるとそこは…

ひとつ扉を開けるとそこは

今まで見たことのない広がりがあった

同じ年の子がたくさんいて、

ここではじめて家族とは違う人とつながる楽しさを知った

そこに遊びは、あふれるほどあった

 

またひとつ扉を開けるとそこは

これからを生きる根幹を学ぶ場所があった

すべての行動が、ある一人の大人に正され

指示される

同じ年の子とまとまって動くこと、

まとまって動けることが必須となった

 

あることができる、できないで

同じ年の子の中で順位が振り分けられるようになったのはこの頃から

 

もうひとつ、扉をあけるとそこは

同じ服を着て、同じ部活に入って

同じ受験をする世界があった

 

ここで過ごす生活が、成績となって

これからを左右するようになったのは

この頃から

 

一年の圧迫した受験を越えて

ようやく次の扉をひらいた

 

そこには、さらに

今までにないくらいの勉強量を行うことが

当たり前になった空気があった

 

誉められることもなくなり、

認められることも減った

 

今まで同じ行動を強いられてきたかと思えば、

自主性を求められるようになり

すべて自己責任のようになった

 

体が弱いことも自己管理ができていないからと

勉強がうまくいかないのは意思が弱いからと

 

自己否定が続く日が増えた

 

 そしてまた再び不穏な一年を越え、

次の扉を開いた

 

 

 ようやくひらかれた世界にこれた

ようやく明るく前を向けると心がおどる

 

それでも、

周りの人は常に次の扉について話し合う

今、扉を開けたばかりなのに 

もう次の扉について考えるの?

 

今開けたばかりの空間を楽しむことは

次の扉について考えてからなの?

 

 

そして 

最後にあらわれたのは

多くの扉

今までは前にひとつしかなかった扉

それを開けていけば前に進めた

 

でも今は、どの扉を開けるかは自分で決める

 

選べる自由をようやく得た

それなのに、

どこかみんな、同じ扉を開けようとひとつに集中する

 

ひとりひとつ、自分のためにある扉を

どうしても見つけたい

 

 どうしても開けたい

 

 そのために、もうすぐしたら

この扉を閉じる時が来る

 

この扉をいつまでも開けていたいけれど

必ず閉じる時が来る

 

そのために、今この扉が開かれている間中

笑って過ごそう

 

  

この扉を閉じたら、また別の扉が開くと信じて