月の葉っぱ

夜明けはもうすぐそこに。

本を書き写す

図書館でお気に入りの本を見つけました。これはきっと何度借りても自分のものにならない限り納得しないだろうなと思ったので買うことにしました。でもその本は結構古くて、ベストセラーになった本でもないためもう販売されていないようでした。中古でも見つかる可能性も低く、とても高い値段になってしまうため、もうこうするしかないと決め、数日前からしてきました。

 

その本の中身を全て書き写す。もう途方もなかったです。コピーすればいいとも思ったけれど、家にコピー機はないし外でやるにしてもずっとしていられないし…こんなにも時間があるのはきっと今しかないので、無駄と思えることをやってみようと思い実行しました。詩集のような本でしたので、小説や新書を書き写すほどのしんどさはなかったものの結構な疲れが出ました。でも書き写し切った今、やってよかったなと思えることがいくつかありました。

 

手書きで全て書くことで、書いているときの自分の体調と感情が分かりました。書き始めはきっちり書こうと張り切りすぎて、字がきつく濃くなっていました。また、書き写しているときに遊びのキャンセルの連絡が入ったりすると、荒れた字になり、何度も書き間違えたり、字が落ち着いていなかったりしていました。当日のキャンセルだとなかなか嫌になるものです。(心が小さい…)逆に、気分が良く、落ち着いているときはゆっくりと書いていて、字も丁寧に書かれてあったりします。何より、一番初めに気づくことは、字が汚い!パソコンやスマホに慣れて、夏休みの間たくさん字を書くことをしてこなかったからですね。

手書きをすることで体調確認ができる、と気づいたことが1つです。

 

 

もう1つは文字と言葉に敏感になれたことです。ここで「を」は必要ないの?とか、この表現はひらがなで書くほうがいいのか、とかいろいろ思いながら書いていました。ここに改行があるのは読み手がいったん休憩するためなのかな、など改行や句読点についても頻繁に反応していました。普段、急いで読んだりする時はそんなことを意識しないので、今まで気づかないこともありました。

 

 

あと1つは、その時間が案外楽しかったということです。書き写している間は、まるで写経のような時間でしたので、わりと心地よく、いつまでもこんな時間の中にいたいな、なんて思っていました。最後のほうには、この書き写しがもうそろそろ終わってしまうんだなと少し悲しくなったりしました。今回初めて使った本型のノートも、始めは分厚くて書きにくかったけれど、書くたびに安定してきて、でも最後はまた書きにくくなってなど、そんなノートとのやり取りも楽しんでいました。鉛筆の先がどんどん削れていく感じも少し楽しかったです。

 

 

無駄なようで無駄でなかったこと、やってみてよかったと思いました。手書きで写したノート(本?)は時間をかけて作ったものなので、きっといつまでも自分にとって大切なものになると思います。いずれ、この本の存在を見たとき、あの時はそんなにも時間があったのかと驚愕すると思います。

 

 

夏休みの内にもう1冊、書き写してみようかな、と思っています。

 

 

読んで頂きありがとうございました。