いつか、架空の”みんな”が理想とする1人の人物像という細い細いとうめいの管を
いつかその管にまっすぐ切り込みを入れて
平たい世界でめいいっぱい呼吸を吸えて
手を大きくふっていろんな板にとびまわれるようなそんな世界になれたらいいな。
今、みんなその管に入るのに必死だ
入ったらそこで息をするのも必死だ
細い細い管の中で体はあまりに窮屈でうまく動かせない
なんとか入れてもくるしい
入ろうにも入れないくるしさ
入ることにおびえるくるしさ
だから、そんな細い管に切り込み入れて引き裂いて
思いっきり呼吸したい
管の中から見るゆがんだ空でなくて
ちゃんと、その管から外に出て
その空をその目でしっかりと見つめたい
管の中の空気はうすくて濃くて濁ってて、
息がつまってとてもとてもくるしい。
管の外の世界に出たい
管の中で長く暮らしていたら
きっと、時間の流れよりもずっとずっと早く老け込んでしまう。
私は、早く、
この管の中から外に出たい。