月の葉っぱ

夜明けはもうすぐそこに。

きみは天才。

 

天才。

 

きみは天才だ。

 

嫌なこと、

嫌いなこと、

やりたくないこと、

知りたくないこと、

自分に合わないこと、

 

たくさんたくさん見つけてくるね。

 

ほんのすこし、外に出るだけで

いつもいつも、毎日毎日。

 

 

ほらまた、

 

またたくさん見つけてきた。

 

 

もう、

まただ。

もう、あきれちゃうよ。

本当、あきれられちゃうよ?

 

なんでそんなにも見つけてくるかなぁ

 

たくさん見つけて

いつも苦しくなって

すぐに泣きたくなって

もう生きたくないなんてすぐに言う。

 

 

君のこと、

わたし、知ってるよ。

 

きみはヒールが嫌いで

ハイヒールはもちろん、パンプスも

はきたがらない。

スーツが大嫌いで、

ジャケットもすぐにぬぎたがる。

 

肌に合わないストッキングも

肌に合わないブラウスも大嫌いで

いつも着ている間、すごく不機嫌だもんね。

それも、笑っちゃうくらい。

 

黒色も嫌いだね。

真っ黒になると顔色、悪くなるもんね。

 

メイクもお化粧も嫌いで、

お化粧品コーナーが見えたら、

すぐに息苦しくなること

知ってるよ。

わたし、そんなことずっと前から知ってる。

 

 

硬いカチカチのカバンも大嫌いで

柔らかいリュックがいい!

なんて駄々をこねている。

 

 

自分の強みとか

自分の好きなところとか

自分の過去とか経験とか

エピソードとか、

 

とにかくとにかく、

きみは自分のことを話すのが大嫌い。

 

知ってる、知ってるよ。

 

 

ガヤガヤしたところ、

人がいっぱいいるところ、

おしゃれな人がいっぱいいるところ

話上手な人がたくさんいるところ、

苦手だね。

 

 

そして、

君は大きな音も苦手だ。

 

少しでも気をぬいているときに、

大きな音が聞こえたら、

君はいつも、

ものすごく、

そして人一倍、びっくりしてしまう。

 

君はただ怖かっただけなのに、

自分だけが驚いていることに気づいて

いつも恥ずかしくなってしまう。

 

君はしずかなところが好きだから、

大きな音がいつもあるところでは

少し、生きづらいかもしれないね。

 

 

そして君は、

人の怒った顔を見るのが本当に苦手だ。

悲しい顔も見てられない。

 

自分はちっとも悲しくないのに、

誰かが辛そうな顔をしていると

胸が締め付けられる。

 

自分はちっとも怒られていないのに、

誰かを怒鳴る言葉が聞こえたとき、

怒られたような感情になる。

 

もう、本当に、

本当に君は、、

 

でも、知ってる、知ってるよ。

君はすぐに落ち込んだり、

悲しんだりしてしまうけれど、

それと同時に、

誰かの優しさに気づいたとき、触れたとき

君はすぐに笑顔になれる。

心に花が咲いたように。

 

君は人の笑顔が好きだもんね。

誰かの笑顔を見れた時、

誰かが笑いかけてくれた時、

誰かが君の話を聞いて笑ってくれた時、

君はとっても嬉しくなるね。

 

ついさっきまで、

鬱々として、息苦しくてしんどいなんて

言っていたのに、

君は本当に本当に小さなことでも

コロッと表情変えて

気づいたら、もう笑ってる。

 

 

いっぱいいっぱい知ってるよ。

わたしは君のこといっぱい知ってるよ。

君がたくさん教えてくれたから

わたしは君のことを知っている。

 

 

君はすぐに泣きたくなって

すぐに涙を流そうとする。

知ってるよ。

でも、

君が泣かないことも知ってる。

いつも、一人のときにしか泣かないことも。

 

でもね、

目を真っ赤にしていることは、

きっと、みんな知ってるよ。

 

君は本当に不器用だ。

泣きたいことも隠せないくらい。

 

 

わたしは、

君の苦手な人のことも知ってるよ。

あと、君の嫌いな空気もね。

 

笑わなきゃいけない雰囲気

楽しくしてなきゃいけない雰囲気

明るく元気でいなきゃいけない雰囲気

 

君はそこにある空気がどんなものか

すぐにわかるのに、

君は、

自分をその空気に合わすことができない。

 

君はとっても不器用で、

いつもそのままでしかあれないから

そこにある空気を吸うことができないんだ。

 

だから、

そうして、自分の吸う空気がなくなって

君はいつも呼吸ができなくなる。

 

ほんのすこし、そこにある空気に合わせれば

一気に呼吸が楽になるのに。

 

そこだけは君は、いつも頑固だ。

もっとうまく生きなよってわたしが

そばで声をかけているのに。

 

この世界には

君の知らないことが本当にたくさんあるね

 

君は毎日毎日、新しいことを聞いて

毎日毎日、何かを知ろうと、

そして、成長しようとしてる。

 

でも、それでもね、

君はゆっくりだから、

君はゆっくりゆっくり理解していくから

この世界のスピードに全く追い付けなくて 

'世間知らず'なんて言われてしまうんだ

 

毎日毎日、どこかへ出掛けるたびに

気づくこと、知ること、感じることが多くて

君は1日を生きるだけで精一杯だ。

 

だからかな。

 

わたしは知ってる。

わたしは気づいてるよ。

君がすっかり疲れきって、

もう外の世界に目を向けていないこと。

そしてもう、目を向けようとしていないことも。

 

 

 

でも、ほら、

そろそろ気づいた?

君が見つけた嫌いなこと、

たくさん見つけてきて、

そろそろ気づいたでしょ?

 

君がたくさんたくさん、

あまりにもたくさん見つけてきた嫌なこと、

その反対側に

あなたが本当に望むこと

やりたいこと、

望む姿、

こうありたいと願う姿があったんだって。

 

ありがとう。

君が見つけてくれたたくさんの嫌なこと、

教えてくれてありがとう。

 

わたしはこれから、

その反対側を見つけていくね。

少し時間はかかるかもしれないけれど、

必ずやりとげるからね。

 

君が見つけてくれた

たくさんの嫌なこと、嫌いなこと、

やりたくないこと。

 

君があまりにもたくさん見つけてくるから

わたしはこれから大忙しだ!

 

今まであふれるようにあった暇は

もう一滴も見えないや。

 

君はわたしにしてほしいことを、

「ハイ、仕事」って

ケロリと山のように持ってきた。

 

もう、本当に、

本当に君は、不器用だ。

 

君はバカで正直で

ちょっとも嘘がつけなくて

いつもしんどいしんどいって言ってる。

でも、ふと気づけば君は笑ってる。

 

 

君は本当に、

君は本当にバカだよ。

バカで単純!

でも、

君は天才だ。

 

君は、君が嫌いなこと、

やりたくないことを

たくさん見つけてくる天才だ!

 

よくもまあ、こんなに見つけたもんだ!(笑)

 

 

これから先、

君の望む姿をわたしは見つけていくよ。

そして、少しずつそれを目指していく。

 

 

でも、でもね、

もう君はとっくに知っていることだけど、

きっと、君は、

社会ではうまく生きていけない。

 

そう言っても、

もう君は傷つかないこと、知ってる。

だって、それだけは、

君もわたしもずっと前から知っているからね。

 

 

君がありたいと望む姿は

社会にとって何の利益も産み出さない、

誰にも必要とされない存在かもしれない。

 

でも、

わたしは生きて必ずなってみせる。

君がありたいと望んだ姿になってみせるよ。

 

 

君がたくさん見つけてくれたから。

君が死にたいと望むほど

何度も何度も苦しんで見つけてくれたから。

 

 

だから、

もうちょっと待っててね。

 

君はやるべきことをやったんだ。

十分やったんだ。

もう十分、それで十分。

 

 

だから、これから、

わたしが君と手を繋いで生きるために、

 

今度はわたしが、

君が見つけてくれた、嫌いなことの反対側を

必死になって探すよ。

 

そこにある好きなことを見つけて

君が君らしく生きられるように、

なんとかその道を見つけていくから。

 

 

君が抱える大きな夢も

きっとわたしが叶えてあげる。

 

君は君のこと、大嫌いだけど、

わたしは君のこと、大好きだよ。

 

君はとっても不器用で

君はとっても頑固で

君はとっても変な子で

君はとっても普通な子で

いつもみんなに心配かけて

いつもみんなに心配されている。

 

そして、生きることが

とってもとってもへたくそだ。

 

 

でも、

それでもやっぱり

 

  

君は、

 

天才だ。

 

 

 

 

 

  いつもありがとう。