月の葉っぱ

夜明けはもうすぐそこに。

社会のかたまり

 

私のね、彼はね、

 

正義をかためたような

正しさをたくさんつめこんだような

 

ものさしからはずれたものを

許してくれないような

 

まるで、見えない理想の社会を

具現化したような人なんだ

 

落ちてるゴミにとっても怒って

タバコのポイ捨てにもすごく怒って

無駄をすごく嫌う

 

歩行者のマナー、

自動車のマナーにも

いつも何か気づくみたい。

 

 

いつも身体を鍛えていて

お酒も飲まなくて

タバコも吸わない

 

ジャンクフードだってもちろん食べない

 

全ての持ち物に、

手入れが行き届いていて

お家もとってもきれい。

 

電車では席をゆずる、

混んでいたら座って、

立っている人のスペースを開けるって、

言ってたね。

 

完璧だね、いつも完璧。

 

私にもとっても優しいもんね、

 

いつも私を、

正しい道からはずれないように

引っ張ってくれるから。

 

でも、

いつも教えてくれるのは、

いかに正しい道を歩めるか、だね。

 

そう、正しい、正しいよ

もちろん、

なんにもまちがってない。

 

 

いつも『正論』、

正しいのに、

本当は正しい話なら、

素直に聞けるはずなのに

息が苦しくなるよ。

 

社会に対してではなくて

それに私は適応できないと感じるから。

 

 

いつも正しさと一緒にいるね。

 

私は、

社会の理想とする人物像ではないよ、

少しずつ、ずれていっている。

それでもいいの?

 

 

だからかな、

今、必死に、

見えない社会の理想とする像になるために

いろんなこと、教えてくれる。

 

でもね、

 

そうすればするほど、

私は苦しくなって

そんな像を目指すなら、

私はこのレールから降りる、

降りたい!って強く思ってしまうよ。

 

いずれ、もしくは今

なる可能性を秘めた私

なっている私のような、

 

 

正しさから、理想から、

ほんの少しでもはずれた人に

とっても冷たいね。

 

太っている人にも厳しいし、

オシャレに気を使わない人にも厳しい。

マナーがなってない人にも厳しいし、

ちょっとした間違いにも厳しい。

道を踏み外した人にも厳しい。

ちょっと変わった人にも厳しいよね。

 

いつも厳しい。

 

でもね、

どんな理由があって

正しい道からはずれてしまったかなんて

その人しか知らないんだよ。

 

決定的な理由も、

なかったかもしれないよ。

 

反省して、見つかる答えがないことも、

きっとあると思うよ。

 

そして、

あなたのそう思う「正しさ」が

本当に「正しい」かなんてわからないんだよ。

 

 

説明できないことが

全て、存在しないことになるのは

きっと退屈な世界になってしまうよ…

 

 

「なんとなく」なんて許されないし

書店に行く時間も無駄だって言う

 

売れてない本でも

自分がとっても好きな本に偶然出会えるかもしれないよ?

 

でも、

 

本は、売れてるものを買うんだって

そして、すぐに売ってしまうんだって

 

好きな本を並べることも

ずっと手元に置いておくこともしないんだ

 

 

私は、社会のかたまりさんといると、

社会の外側にいるんだなって思ってしまう

 

理想とされる人物像ってこうなんだろうなって

 

変な日本語も嫌いだね。

私のは、変な日本語なんだよ。

そう、正しくない日本語なの。

 

 

だから私、あんまりメールしないんだよ

怖いから。怒られるって思ってしまうから。

 

私は思ったまま、伝えたいのに

論理的じゃないって怒られるから

いつもいつも悩んで悩んで

丁寧に丁寧に、誤解のないように、

メールしてる。

 

もうその頃できあがったメールには、

私の最初に思った気持ちは一ミリも見えない

 

でも、私に直接怒ったことはないね。

でも、私は、いつも、

あぁ、私が怒られてるって思うんだ。

 

あなたが聞いた間違った日本語を、

あなたの思う正しさに変えていくときに

あぁ、私だ、って思うんだ。

 

 

理想を叶えていく正しさ

理想に沿った正しさ

 

それを生きる正しさ

 

いつもたくさん教えてくれる。

正しくなるために、

理想に沿った正しさを生きるために。

 

ありがとう。

たくさん教えてくれて、いつもありがとう。

 

でも、気づいてね、

理想の正しさを生きることが幸せ、

だからそれを目指して幸せになろうって

教えてくれるけど、

 

今ここに、

 

正しさに

正しさという理想に

苦しめられている人がいるんだよ。

 

 

あなたの優しさで

あなたが救おうとした、

目の前にいる人は、

今、

あなたの望む「理想とする正しさ」に

首をしめられて、

呼吸をするのが辛いほど、

息が苦しくなっている。

 

 

 

 

正しさに悪意がないことは知っている。

 

でも、

 

正しさには、いささか鋭利なトゲがついている。