きのうは9月9日
父は満月の日だね、と言っていた
なんで満月の日なの?と聞いても、
おばあちゃんがそう言ってたからとしか答えてくれない
小さい頃からずっと、9月9日は
父と父の母は一緒に月を見ていたみたい
昨日は曇っていたから月は見えなかった
でも、父には月が見えているようだった
おばあちゃんと見たなぁとつぶやいて、
空を眺めている
私に合わせて、自分の母を「おばあちゃん」と言う所が、父がただ息子であったという頃ではなく、父になった、父になってしまった、ということを表している気がする。それでも、空を見る父の気持ちは、母と一緒に見ていた頃の気持ちと同じだった。
昨日は月が見えなかったけれど、
曇り空の中にあるだけで、
私も、父が見ていた月が見えた気がした。
今日もどことなく曇っていて、
何も見えないけれど、
父の話を思い出していたら、
クリーム色のほんのりあたたかいような月が
頭の中に浮かんだ。
今日はこの月が、
今日の夜を、ほんのり照らしてくれる。